MENU

【終末期ケアの疑問を解決】輸液は必要?それとも不要?考え方について解説

食事が食べられなくなり点滴を始めた患者さんが、徐々に浮腫んできたり痰の量が増えてきて苦しそう・・・と感じた経験ありませんか?

実はそれ、点滴の量が原因かもしれません。

日本緩和医療学会が発行する終末期がん患者の輸液療法に関するガイドラインでは、生命予後が1・2か月の患者に対し1000ml/日以上の輸液を投与することで浮腫を悪化させる可能性が示唆されており、輸液量を減量することで浮腫による苦痛を最小限にできると考えられています。

私は7年間病棟看護師として働いており、昨年終末期ケア専門士の資格を取りました。

この記事では、終末期の輸液療法についての考え方を解説していきます。

この記事を読むと、
・終末期における輸液の考え方について学ぶことが出来る
・実際の現場で患者さんのアセスメントをする際役立てることが出来る

結論

・終末期における輸液は患者の身体症状を悪化させ、苦痛の増強につながる可能性がある

・輸液は適正に使用すれば患者のQOLに繋がる

・食べられなくなった時に輸液をすることで安心する患者や家族の気持ちも大切にする

・医療者が安易に決めつけるのではなく、患者や家族とともに決めていく

目次

終末期と輸液の関係

【食べられない→点滴しよう】は日常茶飯事

終末期になり身体症状の悪化により経口摂取が出来なくなり、医師から輸液がオーダーされるのはよくあることだと思います。しかし、輸液で身体症状は改善されずそのまま経口摂取困難となり輸液のみ継続。

徐々に患者の手足が浮腫んできたり、痰の量が増えたり、「ぜーぜー」と喘鳴がみられることありませんか?

終末期にみられる浮腫や呼吸器症状(痰量増加、呼吸困難、喘鳴など)は、輸液の量が原因かもしれません。

輸液が身体症状の悪化につながる理由

日本緩和医療学会が発行する終末期がん患者の輸液療法に関するガイドラインでは、生命予後が1・2か月の患者に対し1000ml/日以上の輸液を投与することで浮腫を悪化させる可能性が示唆されており、輸液量を減量することで浮腫による苦痛を最小限にできると考えられています。がんの終末期などでは体内の細胞が水分を取り込めない状態が生じやすく、輸液を行うことで浮腫や胸腹水、気道分泌物の増加などが起こり、患者さんへの負担が大きくなる可能性があります。

終末期の輸液は悪なのか?

 では、輸液はダメなのか?というとそれは違います。例えば、消化管狭窄、閉鎖などにより十分な経口摂取が出来ない終末期の方に対し、QOL改善を目的としての輸液は推奨されています。

また、がんの発生部位により経口摂取が出来ない患者さんに対し、活動量に合わせた輸液を行うことで、身体の衰弱を改善するといわれています。

他にも、適切な輸液療法は、脱水や薬剤性によるせん妄に対して、蓄積した薬剤の排出や電解質バランスの補正などを通じて、症状が緩和され、QOLの改善につながることもあります。

 患者さんや家族が「食べられないから点滴をして欲しい」ということを言われるのは当然であり、「点滴をしてもらえている」ことで安心感に繋がることは多いです。

輸液のメリット・デメリットを患者、家族に説明した上で、輸液はいつでも始めたりやめたりできるということを伝えるのも大切です。

医療者が「食べれないなら点滴」「終末期だからもう点滴いらないでしょ」と安易に決めるのではなく、患者さんと家族と相談しながら治療の方向性を決めていくのが重要です。

私の経験談

 私がまだ3年目くらいの頃です。パーキンソン病のAさん。経口摂取はすでに困難で経鼻から栄養を注入していましたが肺炎を繰り返しその度に絶食、輸液(1.5L)を繰り返している方でした。

徐々に全身状態も悪化し尿量も少なくなっているにも関わらず、輸液量は変わらず1.5L。患者さんの身体はどんどん浮腫んでいき、手足だけでなく背中も浮腫み、寝衣のしわがくっきりと残る程でした。

そして浮腫んで薄くなった皮膚が少しの刺激で裂け、じわじわと浸出液が出てくるのです。身体を動かす時も苦痛表情がみられ、痰の量も増えた為吸引の回数も増えていきました。

亡くなった時は浮腫で体重が5㎏以上増えていました。

今考えると、もっと早く医師に輸液の減量について相談出来ていれば、患者さんの苦痛を少しは緩和できたのではないかと思います。

しかし、当時の私にはそのような知識もなく、医師の指示に疑問を持つこともありませんでした。

そんな私が終末期ケアに興味を持ち、終末期ケア専門士という資格に出会ったことで、輸液量の適正について医師に相談することができたり、患者さんや家族に点滴のメリット・デメリットについて説明できるようになりました。

まとめ

この記事では、終末期における輸液の考え方について書いていきました。

・終末期における輸液は患者の身体症状を悪化させ、苦痛の増強につながる可能性がある

・輸液は適正に使用すれば患者のQOLに繋がる

・食べられなくなった時に輸液をすることで安心する患者や家族の気持ちも大切にする

・医療者が安易に決めつけるのではなく、患者や家族とともに決めていく

もっと終末期ケアについて学んでみたい!という方はぜひ終末期ケア専門士の資格を取得してみて下さい😊

テキストはとても分かりやすく、実際の現場で役立つ内容ばかりとなっていますよ♪

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次