終末期のケアって種類があるの?
終末期ケアには
・緩和ケア
・ターミナルケア(終末期ケア)
・ホスピスケア
・エンド・オブ・ライフケア
の4つがあります。
4つも!違いがいまいち分からないな・・・
分かりやすく一覧でまとめてみました!
ケア | 時期 | 期間の長さ | 対象 | 目的 |
緩和ケア | 生命を脅かす疾患に罹患したことが 明らかになってから | 長い | 生命を脅かす疾患に罹患した患者とその家族 | 苦痛を和らげること |
ターミナルケア (終末期ケア) | 人生に終末期を迎えた時期 | 短い | 終末期を迎えた方とその家族 | 穏やかに過ごせるよう ケアを行う |
ホスピスケア | 余命が短いことが明らかになってから | 最も短い | 余命の短い患者とその家族 | 身体的・精神的・社会的 側面からの総合的なケア |
エンドオブライフケア | 死について考える全ての期間 | 最も長い | 死について考える人 | 最善の生を生きることが できるよう支援 |
①緩和ケア
緩和ケアの定義
緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。 (2002年 WHO)
日本では、2016年に改正された「がん対策基本法」で緩和ケアについて定義しています。
緩和ケアとは、がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為をいう。
【共通点】
①患者と家族の苦痛を予防し、和らげることを目的としたケアであること
②終末期に限ったケアではなく、生命を脅かす疾患に罹患した時から対象となること
緩和ケアの昔と今
現在は、原疾患の治療を行いながら緩和ケアを並行して行うこともあります。
早期の癌は完治する可能性が高く、新たな抗がん剤や治療法によって、以前は助からないとされていたがんであっても、治癒するケースが増加しています。
積極的治療は、疾患の治療という目的だけでなく、緩和ケアの一環という目的を併せ持つこともあります。
②ターミナルケア(終末期ケア)
ターミナルケア(終末期ケア)の定義
終末期(ターミナル)における医療・看護・介護のこと。
疾患や傷害により余命わずかの人や、認知症・老衰などにより終末期を迎えた人が、人生の残り時間を自分らしく少しでも穏やかに過ごし、満足した最期を迎えられるように、身体的・精神的な負担を軽減することを目的とする。
緩和ケアとは何が違うの?
緩和ケアは積極的治療を行っている段階から並行して介入しますが、終末期ケアは積極的治療による延命よりも苦痛や不快感を緩和し、精神的安定やQOLを優先します。
③ホスピスケア
ホスピスケアの定義
生命の危機に瀕している患者が身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛から解放され、残された日々を人間としての尊厳を保ちながら、心身ともに安楽に過ごすことができるようにすることを目的としたケア。
イギリスの「死に行く人への全人的アプローチ」が基になっています
ホスピスプログラム
ホスピスプログラム?聞いたことないな・・・
ホスピスプログラムについて解説しますね!
【ホスピスプログラムとは】
死が迫っている患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とするプログラムのこと。その中で行われる症状の軽減、緩和ケア、家族への精神面でのサポートがホスピスケアである。自宅で暮らす重病患者を支援するために、米国で広く利用されている。
米国でってことは、日本にはないのかな・・・?
いいえ!日本には、日本財団が運営する日本財団ホスピスプログラムがあります。
④エンドオブライフケア
エンドオブライフケアの定義
健康状態、疾患名、年齢にかかわらず差し迫った死あるいは、いつかは来る死について考える人が最期まで最善の生を生きることができるよう支援すること
対象が広いってこと?
病気を持つ方や高齢者だけでなく、健康な若い方でもケアの対象となりますね
ケアの特徴
①その人のライフ(生活や人生)に焦点を当てる
②患者・家族・医療スタッフが死を意識したときから始まる
③患者・家族・医療スタッフが共に治療の選択に関わる
④患者・家族・医療スタッフが多様な療養・看取りの場の選択を考える
⑤QOLを最期まで最大限に保ち、その人にとっての良い死を迎えられるようにすることを家族とともに目標とする
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)もエンドオブライフケアにおける重要なキーワードとなります
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは
将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセス
まとめ
・終末期におけるケアは①緩和ケア②ターミナル(終末期)ケア③ホスピスケア④エンドオブライフケアの4つがある
・緩和ケアは終末期に限らず、生命を脅かす疾患に罹患した時から対象となり、治療と並行して行われる
・終末期ケアは積極的治療による延命よりも苦痛や不快感を緩和し、精神的安定やQOLを優先する
・ホスピスケアは余命が短い方が対象。トータルペインから解放され、心身共に穏やかに過ごせるよう支援する
・エンドオブライフケアは、疾病に罹患した人や高齢者だけでなく、死について考える全ての人が対象
コメント